地盤の難しさ

2020年10月に東京都 調布市で起きた環状道路のトンネル工事による住宅地道路の陥没事故。業者による住民説明が不十分として協議の場を求めた。結果、事故現場付近の地盤補修の為≒40軒ほどの住宅解体をしたらしです。

また、2016年には福岡市の博多駅まえの道路が陥没しました。これも地下のトンネル工事の影響があったようです。

地盤の陥没や沈下と言うのはトンネル工事やその他の工事によらないものも多数あります。地盤は現場に搬入される材料ではないのですが、建物を一番下から支える材料として考える者もいます。地盤が材料と考えるなら、その機能を十分備えているか、期待通りの性能を発揮してくれるかを確認する必要があります。

基礎工事にかかる前には地盤調査を行い、その土地の性能を確認して・・そのままでいいのか、地盤改良が必要なのか、杭地業が必要なのか、それと基礎形状を決める上でも重要な調査です。

      

図や写真のように沈下には様々な原因があります。不同沈下とは、建物(基礎)の各位置が不均一に沈下する現象で、建物が傾くような沈下が起きます。「不同」とは、「同じでない」という意味ですね。

不同沈下が起きた建物は、部分的に「荷重」が作用して、建物が引っ張られています。建物に予期せぬ応力が発生します。この応力が原因で、ひび割れが生じます。このひび割れは、乾燥収縮によるものとは、ひび割れ形状が違うので判別が可能です。

不同沈下の問題点としては次の通りです。

①構造部材の損傷が起きる。ひび割れや、許容できない部材の損傷など。

②床が傾くなど、使用する上で問題が起きる。身体、精神面へのストレスがかかる。

日本では地下資源採掘による不同沈下は起きにくいとされています。ただし圧密沈下による不同沈下は生じる可能性はあります。

①埋立地盤の圧縮

②地盤の掘削による地盤変位・・等の原因により不同沈下は起こります。地下資源や地下水の過剰な採取が原因で地盤沈下が起きます。これらは地盤中、均等にあるわけ無いです。よって、各位置で沈下量が違い、不同沈下が起きます。地下資源とは、石油や天然ガスなどです。これらは広域の不同沈下を起こします。

擁壁の埋め戻し土や傾斜地の片盛土などの収縮沈下が≒49%、軟弱地盤上の盛土造成などの圧密沈下が≒30%で全体の≒79%が宅地造成に関する問題です。

地盤調査をするのに一般的に広く行っているのがSWS試験「旧スウェーデン式サウンディング試験」、現在は「スクリューウェイト貫入試験」に名称変更しました。元々は、スウェーデン国有鉄道が1917年頃に不良路線の実態調査として採用し、その後スカンジナビア諸国で広く普及した調査を、1954年頃に建設省が堤防の地盤調査として導入したのが始まりだそうです。

1976年頃にJIS規格に制定され、現在では戸建住宅向けの地盤調査のほとんどが本試験によって実施されている。